Person 02 田尻愛さん

 

自信をもって社会に出られるような人材育成だけでなく、『ここで働きたい』と憧れを抱いてもらえるような事業・施設を創りたい。

 

田尻 愛 さん

特定非営利活動法人 彩り
就労継続支援A型・B型多機能事業所 にじいろ
職業指導員・社会福祉士

いつも明るくふるまい、笑顔を絶やさずに接客や指導を心がけているという田尻愛さん。

以前は、宮崎市内で洋菓子店の店員をされていらっしゃいましたが、聴覚障害を持った父親をサポートするために奔走する母や家族の力になりたいと思うと同時に、家族からの希望もあって帰郷し、福祉の道へと進まれました。
現在は、「さまざまな障害をもち、就労に悩む人達の手助けがしたい」という家族が団結しての新しい夢を実現し、「就労継続支援A型・B型多機能事業所 にじいろ」を開所され、愛さんは職業指導員・社会福祉士として利用者を支援しています。

事業所開設のために、まずは事業実績をつくることが必要だったそうで、母親や兄が以前勤めていた福祉作業所の作業の一環として開発した「おひさまチーズまんじゅう」を世に送り出すべく、製作工房『そらいろ』を立ち上げられたとのこと。その他、ドライトマトやペッパーなどを用いたプレミアム感のあるチーズまんじゅう等を開発するだけでなく、さまざまな焼き菓子を考案されたそうです。

「知名度の高い商品があれば、それが広告塔となって施設を知ってもらえるだけでなく、『それを作ってみたい』というあこがれを抱いてもらえるのではないか?」と考えたという田尻さん一家は、高千穂町内で販売をスタートさせたのち、徐々に物産イベントやデパートでのイベントに参加するなどして、商品の知名度を高めるために奔走したのだそうです。数年後、ようやく「就労継続支援A型・B型多機能事業所 にじいろ」を開所することになりましたが、その「場所」にもこだわったといいます。

一般的に、作業所等は街の中心部から少し離れた場所に設けられているのを多く見かけますが、自分たちの施設は、街のメインストリート沿いに設け、たくさんの人に活動を知ってもらえるように、そして利用者の方が行き交う人々と心を開いて交流ができるようにしたいと考え、現在の場所へ開所する運びとなったのだそうです。

現在、田尻さんは、「おひさまチーズまんじゅう」の仕込みの作業やパンフレット等の作成、その他の施設へ作業応援などの仕事をうけ、職業指導員として、利用者を支えていらっしゃいます。また、高千穂のメイン通りに面した一角を「ちょいcafeにじいろ」として、おひさまチーズまんじゅうやドリンクとのセットメニューや、独自にブレンドしたコーヒーや紅茶などを提供できるイートインスペースを設け、利用者に「接客」を学べるように支援しているのだそう。

田尻さん
「仕事をしたくても、社会への不安を抱える心的障害や、意欲があるのに雇用に結びつかない、仕事をしすぎて体調をくずしたなど、さまざまな悩みを抱えていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。そんな方々が気軽に来てもらえるような事業所にしたいと思っています。このカフェは、利用者の方々にとっては、事業所スタッフ以外の人と接する大切な場所であり、自信をもって社会に復帰できるように努められる重要な場所となっています。ここでの接客業を指導することで自立し、いつかはレストランや販売店などのサービス業を担えるような人材になるまで、利用者に寄り添っていきたいと強く思っています。そのために、日々の掃除からドリンクの淹れ方、お客様との会話を楽しんでもらえるように笑顔で指導をしたいと努めています。私たちや利用者の活動をみて、『ここでがんばってみたい、ここで働いてみたい』と、希望してもらえるような雰囲気作りや活動を大切にしたいです」

 

取材協力

特定非営利活動法人 彩り
就労継続支援A型・B型多機能事業所 にじいろ

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1171-7
電話:0982-83-0707
FAX:0982-83-0708

 

取材・編集スタッフ

レポート:中本望美
撮影・制作:ヴォーク有限会社

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